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名所図会 巻4-18 蟻通大明神

蟻通ありとをし大明神


蟻通ありとをし明神社
けんけんと雉子なとかめそ蟻通       本因


蟻通ありとをし
                      [山家]  さゝかにのくもてにかけてひく糸や
                              けふ七夕にかさゝきのはし         西行

中通莊長瀧村の北にあり。本社、東向。拜殿、朱の鳥居あり。末社は、五社の明神、住吉、多賀、愛宕を本社の左に祭る。四面しめん林中りんちうにして、神前しんぜんに馬場二町ばかりあり。其かぎりに又、あけの鳥居あり。竪額たつがく蟻通ありとをし大明神。筆者つまびらかならず。此鳥居の右に、鐘堂、神宮寺あり。真言律宗にして、宗福寺といふ。本地堂には毘沙門天、不動尊を安置す。其東に社家あり。例祭まつり、八月廿七日。長瀧村生沙うぶすなじんとす。

祭神さいじん
清少納言[枕草紙]を以て本とすとそ。社傅、旧記なし。寺僧の曰、開化天皇の御宇、初て祭るとなん云傅へける。不詳。

[枕艸紙春曙抄]曰、
ありとをしの明神、貫之つらゆきが馬のわつらひけるに、此明神のやませ給ふとて、哥よミで奉りけんに、やめ給ひけん、いとおかし。此ありどをしとけたてる心は、誠にやあらん、むかしおはしましけるみかとの、只若き人をのみおぼしめして、四十よそじに成ぬるをば、うしなはせ給ひけれは、人の國のとをきにしきかくれなどして、更に都のうちにさる物なかりけるに、中將なりける人の、いみじき時の人にて、心などもかしこかりけるが、なゝそぢちかき親ふたりをもたりけるが、かう四十よそじをだせいあるに、ましていとおそろしとおぢさはぐ、いみしうけうある人にて、とをき所には更にすませし。ひと一度ひとたび見てはえあるまじとて、みそかによるよる家の内の土をほりて、其うちに屋をたてゝ、それにこめすへて、いきつゝ見る。おほやけにも人にも、うせかくれたるよしをしらせてあり。などてか、家に入ゐたらん人をば、しらてもおハせかし。うたてありける世にこそ。おやは上達かんたちなどにや有けん、中將など子にてもたりけんは、いと心かしこく、よろづの事しりたりければ、此中将わかけれど、ざえあり、いたり賢くして、時の人におぼす成けり。もろこしのみかと、この国のみかどを、いかてはかりて、此國うちとらんとて、常に心見、あらがひ事をして、をくり給ひけるに、つやつやとまろにうつくしげにけづりたる木の二尺はかりあるを、これがもと末いづかたぞととひ奉たるに、すべてしるべきやうなければ、みかど、おぼしめしわづらひたるに、いとおしくて、おやのもとにゆきて、かうかうの事なんあるといへば、只はやからん川に、たちながらよこさまになげ入見んに、かへりてながれむかたをすゑとしるしてつかはせと、をしふ。まいりて我しりがほにして、心見侍らんとて、人々ぐしてなけいれたるに、さきにして行かたにしるしをつけて、つかはしたれば、まことにさなりけり。又、二尺ばかりなるくちなはのなじやうなるを、是はいつれか男女とて奉れり。又、さらに人えしらず。れいの中將ゆきてとへは、二つをならべて、尾のかたにほそきすはえをさしよせんに、おはたらかさんをめとしれ、といひければ、やがてそれをだいのうちにて、さしければ、まことに一つはうごかさず、一つはうごかしけるに、又、しるしつけてつかはしけり。程久しうして、なゝわだにわだかまりたる玉の、中とをりて、左右に口あきたるが、ちいさきを奉りて、これにをとをしてたまはらん。此國にみなし侍る事なりとて、奉りたるに、いみじからん物の上手ふようならん、そこらの上達部よりはじめて、ありとある人しらずといふに、又、いきて、かくなんといへば、おほきなるありを二つとらへて、こしにほそき糸をつけ、又、それに、今すこしふときをつけて、あなたの口にみつをぬりて見よ、といひければ、さ申て、ありをいれたりけるに、みつのかをかきて、まことにいととう、あなのあなたのくちに出にけり。さて、其糸のつらぬかれたるをつかはしたりける後になん、猶日本ひのもとはかしこかりけりとて、のちのちはさる事もせさりけり。此中將を、いみじき人におぼしめして、何事をし、いかなるくらゐをか給はるべきとおほせられけれは、さらにつかさ位をも給はらじ、只、老たる父母のかくれうせて侍るをたづねて、都にすまする事をゆるつせ給へと申ければ、いみじうやすき事とて、ゆるされにければ、よろづの人のおや是をきゝてよろこぶ事いみしかりけり。中將は大臣までになさせ給ひてなんありける。さて、其人の神になりたるにやあらん、此明神のもとへまうでたりける人に、よるあらはれてのたまひける。
    [袋草紙]にも、此歌、蟻通明神の御歌としるして、是、昔かの社の邉に旅客の宿れる夢に示し給ふ哥といふ。
    これも[枕草紙]に付ていへるにや。
  なゝわたにまかれる玉のをゝ抜き手ありとをしともしらすやあるらん
との給ひけると、人のかたりし
[貫之家集]
きのくにゝくたりて、かえりのほりし道にて、ニはかにむまのしぬへくわつらふところに、道ゆく人々立とまりて云、これはこゝにいますかるかみのし給ふならむ、としころやしろもなく、しるしも見えぬと、うたてあるかみなり、さきさきかゝるには、いのりをなんもうす、といふに、みてくらもなければ、なすわさもせて、手あらいて、かみおはし氣もなしや、そもそも何の神とかきこえん、ととへは、ありとほしの神といふをきゝて、よみてたてまつりける。むまのこゝ地やみにけり。
[古 今]
  かきくもりあやめもしらぬおほ空にありとほしとは思ふへしやは              貫 之

冠池かふりのいけ
当社の北壱町ばかり街道かいだうかたはらにあり。紀貫之きのつらゆき落馬らくばの古跡といふ。後世こうせい往還わうくはん旅人りよじん神崇しんすうありとて、本社は街道かいだううしろにして東向なり。

㠶下松ほさげまつ
佐野さのの南にあり。とかいふね、此松を当社のめあてとし、を下げおろしてとをるなり。此ゆへに名とす。

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作成:2014年 8月25日 15:01:47 再構築
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